pale saints/the comforts of madness

「君を見るだけで気分がブルーになる/君の言葉全てが僕を憂うつにさせる」──そんな言葉が美しく鳴り響く。何故か? あなたは、気づいてるよね?──それは、表現ではないから──2003年1月24日。ペイル・セインツのベース/ヴォーカルだったイアン・マスターズの演奏を聴いた。13年前と変わらず、彼は「媒介」だった。手探りで、「音」を探す──いまも、彼女がひとりで泣いている、その場所を探す──永遠に届かない、その場所を──揺らいだ。何が? 永遠が──成就される必要なんてない。愛する対象のためにアルペジオを紡ぐ。それぐらいしか、できるコトはない。マッドチェスターの狂騒が終わるコトはない。彼方からの手紙を、あてのない、その場所へ届けるために──1月25日。一緒に演奏を聴いた、かつての恋人の部屋へ行った。ペイル・セインツのCDがプレイヤーに入っていた。「何も変わってないネ」って、彼女は言った。逆光で、そのときの表情はわからなかったのだけど。