片霧烈火 / マリアさまのこころ

わたしたちは青空を曇らせ、樫の木を切り倒し、うぐいすの寝床を暴いて繁殖し続ける。山百合を踏みにじり、サファイアを掘り返す。そうしなければ、生きてゆくことができないからだ。そして、些細な幸せに満足できなくなったわたしたちは、互いに殺しあう。マリアさまが血の涙を流すのは、ほんとうだと思う。


だから誰かのために、せめて愛する君のためにクリスマスソングを歌おう。


『風の歌が地上の果てから届くこの世界へ / まだ君のことさえも信じないこの心へ / だけど甘く傷ついた夢を抱きしめる / ただ駆け抜けるだけの 僕たちの愛しい今を抱きしめる(新居昭乃 / 覚醒都市)』