「売春」の次は「ケンカ」!? ならずもの達がターンテーブルに集う

text by 沼田和也 (groovy dictionary)


スペース ケンカ番長という名前は、なんともDJのイヴェントに対する挑戦ではないか。このあいだの忠岡における「事件」から目も覚めていないうちに(あれも副題が「僕らをヨゴレ的だと思うかい?」という、溢れるばかりの目論見を予感させるものだったが)、こんどは「ケンカ」だの「番長」だのと物騒なことである。

loveletter from canada氏(l.f.c.)、大熊慎也氏らそれぞれにDJとしての経歴を持つ人々に、ハンサム団なる謎の軍団(bobbie gillespie hairstyle氏と我らがchibinova!!)と、minihandこと 吉田智隆氏が挑む!・・・らしい。

ものものしい文言。ちなみに、HP上には次のような、おそらくchibinovaによるテーゼが。

  • 「スペースケンカ番長 (Space KenkaBanchou : 芸術)
    楽家chibinovaにより提唱された21世紀の芸術運動。フロイト深層心理学アポリネールの詩の精神を拠り所とし、夢や無意識、非合理といった心の世界を探求して人間性の荒廃を建て直そうという理念を持つ。元々音楽の運動ではあるが、その影響は美術、倫理、政治、風俗にまで及ぶものと思われる。いわゆる「SKB」の語源でもある。」

一見知的である。しかしSKBをもしも「スケベ」と釈義することが正しいならば、このテーゼは痴的である。あるいは、恥的ですらあるではないか。DJイヴェントのタイトルは、フランス語やイタリア語やポルトガル語、英語、そしてわずかの欧米逆輸入の日本語、そういうもので溢れている。60〜70年代をイメージさせる言語、あるいはデジタルな硬いイメージの言語。攻撃的なイメージ、敵意むきだしのハングリーなイメージ、ましてや体育会系の語感は、DJからは程遠い。そういうイメージを敢えて使おうというこの集団。いったい何をやらかそうというのか?汗臭いケンカ番長という言葉と、涼しげなポップミュージックたちとの弁証法が今始まろうとしている。

忠岡で何かを確かめ合っていた彼ら。あのときクリニックの待合室で彼らは世間話をしながら、一つの結論に至っていたようだ。

何もかもがいきあたりばったりなのか。それとも、すべてが計算されているのか。彼らは反射で動くのか。それとも、彼らは確信犯か。スペース ケンカ番長達が三面記事を賑わす日も近い(?)。